ミュラー

ミューラーは、モーゼル地方生まれ。
(フランス東部、ドイツまでの一帯。戦争によって国境がよく変わったため、フランス国境内でもドイツ語が交錯する町です。ミューラー兄弟が生まれた時はドイツ領内でした)
モーゼル地方で生まれた男9人女一人、合計10人兄弟という
大家族の兄弟贅員がガラス工芸作家という珍しい家族です。

当初、兄弟はフランスのクリスタルメーカーとして有名なサン・ルイガラス工場で働いていた。
しかし、普仏戦争(1870-71)がはじまったため、兄弟はフランスのリュネヴィルに疎開。
1885年頃、兄弟のうち、デジレとウジェーヌの2人がガレの工場に入り、ガラス作家としての修練を積みます。また、他の兄弟もそれぞれガラス職人の研鑚を積むことになりました。

その後アンリ、ピエール、ヴィクトールは兄に続きガレの工場に参加し、
当時最先端のガラス技法や様式を学びます。
ガレの工房では、工業地帯に近いこともあり、さまざまな薬品を使って最新の釉薬や技法の
研究が盛んでした。
1895年、アンリが独立し、リュネヴィルに工房を開設。
兄弟全員が参加してガラス生産を開始したのが、ミューラーの工房のはじままりです。

製品の主流はガレのようなカメオグラスで、一部エナメル彩色のものも製造されました。
この頃のデザインはアールヌーボー様式です。

第一次大戦後はアールデコと呼ばれる様式が主流となり、
幾何学的なモダンデザイン、工業生産がしやすいデザインが増えます。
肉厚でフロストガラスにモダンなレリーフを施したミューラーのランプのスタイルは
この頃から1930年代に多く作られました。