鈴木長吉(すずき ちょうきち、1848年(嘉永元年)~1919年(大正8))
埼玉県出身。
出自、師系などは不明な点が残るが、1874年に設立された起立商工会の鋳造部監督に就任し、
輸出向け鋳造品に「嘉幸」銘の作品を多く残す。
自身も76年フィラデルフィア万博では「銅製鋳物香炉(スコットランド王室美術館蔵)」で優勝。
1885年、ミュルンベルグ万国博覧会では「青銅製鷲置物」で金牌を受けると共に絶賛を受ける。
この頃より鷲、鷹などの猛禽類の造形を追及するようになり1893年シカゴ万博に最高傑作の一つ
「鷲置物(重要文化財・東京国立博物館蔵)」、また、同万博に林忠正(パリ美術商・前起立商工会社勤務)
が考案し、鈴木長吉が製作指揮を執り鋳造、彫金、漆工、木工、染色など各分野の職人を集め
四年の製作期間を経て完成させた「十二の鷹(東京国立近代美術館蔵)」を出品し一層の名声と地位を確立。
96年に帝室技芸員を拝命、猛禽類以外にも1900年の「岩上双虎図置物(パリ万博出品作)」などを製作しているが、その表現力や迫力はその比ではない。
※前記のとおり長吉は起立商工会社勤務時代に「嘉幸」銘の作品は多く残しているが、
それもほとんどが海外輸出向けであったため現在日本では希少。